借金返済と投資はどちらを優先すべきかを考える

借金がある人が資産運用のことを考えると「資産運用は借金を返済し終わってから考えろよ!」と言われそうなイメージがなんとなく私にはあります。

ただ、私は借金がある一方で、資産運用も積極的に行っています。
あえて繰り上げ返済するつもりがない借金もありますし、資産運用と並行しながら徐々に返済していっているものもあります。

そんな資産運用借金返済の関係について書きます。

正しい借金返済の優先順位

複数の借金がありながら、返済に回せるお金が限られている人にとって、借金を返す優先順位は重要です。
正しい返済順で返していくことで、将来の借金完済までの負担は大きく変わってきます。

借金返済の指南書の中には残高が少ないものから返済しなさいと書いているものもあるみたいですね。
確かに残高が少なければ、それだけ完済しやすいですし、一つでも借金がなくなれば、気持ち的にもすっきりする気がします。

まぁでも、これは間違いです。
重要なのは返済によって気持ちが楽になるではなくどう返済すればできるだけ多くのお金を払わずにすむか?で考えるべきです。

そのため、もし、借金を返済するつもりなら、返済していく順番は、金利の高いものからです。

借金は当然ながら金利がつきますが、金利が高いものほど返済利息は増えていきます。
そのため、将来的な総返済額は金利が高いものほど大きくなります。

それを防ぐために、金利が高いものから返済していきます。

カードローン、キャッシング、リボ払いはすぐに返済する

高い金利の借金の代表格は無担保のカードローンクレジットカードのキャッシングなどです。

これらの借金の金利は貸金業法という法律によって上限が定められており、

  • 元本の金額が10万円未満:上限金利年20%
  • 元本の金額が10万円~100万円未満:上限金利年18%
  • 元本の金額が100万円以上:上限金利年15%

となっています。

また、隠れた借金として、クレジットカードのリボ払いがあります。

これは、お金を借りたという実感がないので借金と認識していない人も多そうですが、中身は借金です。
返済を後回しにしてそこに対して金利がかかっています。
リボ払いの金利はだいたいどのカード会社も横並びで15%くらいです。

これらの金利年15%を超える借金に関しては、何よりも優先して返済するの一択です。
頑張って返済しましょう。

返済できない!という方は、弁護士や司法書士に相談すべき案件です。

また、もう少し金利の低いカードローンもあります。
「〇×銀行カードローン」と言われるものとか、あるいは、アコム・プロミス・アイフルに代表されるような消費者金融でも借入限度額(実際に借りている額ではなく、消費者金融がこの額までなら貸しますよ~と言っている額です)が大きければ、適応される金利は10%以下だったりします。

私もほとんどのお金を投資資産に回している結果、給料日までのつなぎの現金がなくて、数日間カードローンから借りることがたまにありました。
その時、利用しているのはJ.Score(ジェイスコア)というソフトバンク×みずほ銀行が運営しているサービスで、私の場合、適用される金利は10.1%でした。

このサービスは、独自のスコアによって適用金利が決まるのですが、私は属性は悪くないと思うのですが、いかんせんみずほ銀行ユーザーでも、ソフトバンクユーザーでもないため、そこまで優遇されていないように思います笑
金利10%は高いので、こちらは借りたらすぐに返済します。

なぜ、これらの10%を超える金利の借金はすぐに返済しないといけないかというと、これらの借金の金利は、投資によって期待できるリターンの水準よりも圧倒的に高いからです。

保険契約者は契約者貸付を検討する

生命保険の中には、終身保険や養老保険、一部の定期保険、医療保険など、保険期間の途中に解約返戻金が貯まっていく保険商品があります。
こうした商品は、その貯まった解約返戻金から必要に応じて貸付を受けることができます。

これが保険の契約者貸付です。

貸付を受けることができる金額は、概ねその時点の解約返戻金の8割~9割です。

貸付の金利は、その契約のもとになっている予定利率+1%程度で、今なら3%程度が多いです。

このお金は、「保険会社」から借りるお金ではなく、自分の契約している「保険の解約返戻金」から借りるものですので、誰に遠慮する必要もありません。
また、解約返戻金以上のお金は借りられないので、借金で首が回らなくなるまで借りてしまうという心配もありません。

そのため、お金の借り入れを検討している場合には、カードローンなど高い金利の借金をするくらいなら、契約者貸付を検討しましょう。

病気で入院して、緊急にお金が必要になった時などは、この契約者貸付を利用して、急場をしのぐこともできます。

なお、もし、終身保険に加入している人が、契約者貸付でお金を借りたまま、万が一があった場合には、死亡保険金から貸付を受けた金額と利息分が差し引かれて、保険金が支払われます。

金利3~5%以下の借金は返済を急がない理由

低い金利の借金は、急いで返済する必要はありません。

それはなぜかというと、もし借金の金利が1%で、一方で投資によって期待できるリターンが5%だった場合、今あるお金を

返済に回して1%の利息支払いを抑える=1%の損失がなくなる

よりも

投資に回して5%のリターンを得て、そのリターンの中から借金の1%の利息を支払う=差し引き4%のリターンを得る

ほうが、お金が増えている計算になるからです。

中には、資産運用・投資を始める前にはまず借金を返済しようという持論を持っている方がいるようですが、借金の返済を優先してしまうと、返済している間、投資によって得られたはずの収益を逃してしまう可能性があります。

そのため、投資、特に株式市場への長期投資によって期待できるリターン(だいたい3~5%)以下の金利に関しては急いで返済する必要はない、それよりも投資に回したほうが合理的な選択です。
一方で、それ以上の金利の借金に関しては、リスクを取って資するよりも、まずは借金を返済して、利息の支払いを優先したほうが長期的には効果的、と考えられます。

株式市場への投資の期待リターンは決して低くありませんが、カードローンやキャッシングの利息15%に比べると圧倒的に低い水準です。
株式市場が暴落したときでも、下落率は15%より小さいかもしれません。

余談ですが、銀行や消費者金融、カード会社など、カードローンやキャッシングのサービスを提供している会社は、お金を貸すことによって15%のリターンを得れているということです。
とても良い投資案件ですね!
(もちろん、貸倒リスクや大規模なシステム投資必要ですが)

繰り上げ返済を急ぐべきでない借金

返済を急ぐべきでない借金の代表格は住宅ローンです。

現在の住宅ローンは歴史的に見ると異常な低金利です。
これは借りておくに越したことはありません。

さらに、住宅ローン控除によって年末の住宅ローン残高の1%(ただし、上限は40万円)が税額控除されますので、控除期間中は繰り上げ返済をしないほうが有利というケースは多々あります。

その他、不動産投資をしている人の不動産投資ローン
この不動産投資ローンも、建物の取得に対しての金利分は、不動産経費として計上できるので、無理に返済する必要はありません。

私の借金返済に対する考え方

私は、借金を大きく3つのカテゴリに分け、それぞれ次のように判断しています。

  1. すぐに返済する:カードローン(金利10%)
  2. 投資に回すか返済に回すか都度検討:保険の契約者貸付(金利3%)
  3. 繰り上げ返済はしない:住宅ローン(金利1%未満)、不動産投資ローン(金利2%前後)

2に関して、私自身は投資による期待リターンを3%以上に設定はしているものの期待リターンはブレ幅があり、あくまで想定のものです。
また、長期投資によって落ち着くとされる想定です。

一方で、借金返済は確実に3%のコストを抑える効果があります。

そのため、都度迷うもので、現在はそのときの相場環境によってバランスを調整して、一部を投資に、一部を借金返済にという感じで進めています。

まとめ:借金返済と資産運用で考えるべきこと

以上のように、投資によって得られる期待リターンよりも高い金利の借金は資産運用にお金を回す前に借金を完済すべきです。

そうしないと、投資よりも高い複利で借金が増えていってしまうからです。
金利15%のクレジットカードのキャッシングの借金の残高は、年利15%の複利で増えていってしまいます。

逆に、投資によって期待できるリターンレートよりも低い水準の借金に関しては、完済を急ぐ必要はなく、そのお金を投資に回すのが合理的な判断になり得ます。

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