老後資金にはいくら必要?必要な老後資金とその準備方法

もっとも大きなお金の不安は老後資金?

お金の不安というと、人それぞれだと思いますが、私が思うに、もっとも大きなお金の不安は老後資金だと思います。

車の購入、結婚資金、住宅の購入、教育費などなど、人の人生を考えると、お金に関して悩みを持つタイミングはたくさんあると思います。
ただ、これらは、先延ばしにしたり、借り入れをしたり、削減したり、場合によってはあきらめたりすることで、その時は確かにいっとき幸福度は減るかもしれませんが、対応は可能です。

ただ、老後資金となると、そういった選択肢は取れません。
まったく老後資金を準備せずに、年金だけに頼る生活は現実的ではありません。
また、人生100年時代とはいえ、リタイア後に定職に就くなど、再度お金を稼ぐ手段を見つけることの難易度は高いです。
アリとキリギリスの話に表されるように、しっかり準備しておくべき時期に準備しておかないと、いざその時にお金が足りないとなってもどうしようもないのです。

老後資金の不安がなくなるという観点では、この本はお勧めです。
FIRE 最速で経済的自立を実現する方法

FIRE【ファイア】とは、Financial Independence(経済的自立)とRetire Early(早期リタイア)の頭字語。
雇われ仕事をすることなく不労所得だけで毎年の生活費を賄えるよう貯蓄と節約に励み、できるだけ早くリタイアしようとする考え方で、欧米を中心にミレニアル世代に広がっている。

著者グラント・サバティエは、貯金わずか2.26ドルの状態から、たった5年で純資産125万ドルを超え、30歳で経済的自立に到達。
それまでの過程を通して彼が気づいたのは、お金や仕事、リタイアに関する従来の考え方のほとんどが間違っている、不完全、もしくは時代遅れだったということだ。

本書は決して単なるアドバイスリストではない。
できるだけ早く思い通りの人生を送るための、成功が約束されているロードマップだ。

もともと、私の使命感の1つは、経済を回すでした。
そして、その中の1つにいっぱい稼いでいっぱい使うというものがあり、私は預貯金はほぼなしで生活していました。
毎月カードの引き落としが終わると、残高は1万円を切っていることもあります。
しかし、当時も、老後資金に対する不安はありませんでした。
それは、数年前に老後資金の計画をしっかり立てて、それに向けて保険や投資商品で毎月着実に準備しているので、預貯金が少なくても、将来困ることはないと思っているからです。
ただし、毎月そのためのお金を払い続ける必要はありますので、しっかり定年近くまで働くという条件付きでした。

私が具体的に老後資金の準備のためにやっていることは、

  • 確定拠出年金(ideco)…毎月23000円実施。
    節税効果が高く、老後資金の準備手段として非常におすすめです。
  • 変額終身保険
    自身で運用する終身保険です。
    現役時代は万が一の時に家族に遺すための保障、家族に遺す必要がなくなれば解約して老後資金にする予定です。
  • 個人年金保険
    個人年金保険料控除による節税効果もあります。
    最近はあまり条件の良い商品はありませんが。
  • 積立NISA
    年間80万円まで。

これらを老後資金のベースとして考えて準備しています。

年金を受け取りつつ、ゆとりのある老後生活を送るために必要なお金は、65歳時点で、

  • 会社員と専業主婦(夫)の場合は、約4700万円
  • 夫・妻ともに会社員の場合は、約2500万円

です。

ただし、年3%くらいで運用できれば、

  • 会社員と専業主婦(夫)の場合は、約3000万円
  • 夫・妻ともに会社員の場合は、約1600万円

で足ります。

これだけ聞くと、「そんな大きなお金を用意できるわけない!」と思うかもしれませんが、始めるのが早ければ早いほど、時間を味方につけて、複利でしっかり増やせるので、まずは現実に向き合ってみてはいかがでしょうか?
もし、毎月2万円を年率3%で30年間運用できれば、それだけで1165万円を準備できます。

とはいえ、若いうちに節約に励んでつつましい生活を送るのも、それはそれでもったいないとも思います。
若いうちにしっかり自分に投資する(遊びも含めて)ことも大事です。
大事なのは、しっかり将来に向けての計画を考えてみることだと思います。

以下で、具体的に説明していきます。

平均寿命と平均余命~今から何歳くらい生きると思う?~

最新の平均寿命のデータによると、日本人の平均寿命は

  • 男性:81.25
  • 女性:87.32

みたいです。

ところで、平均寿命と平均余命の違いを知っていますか?

知らない方は是非、こちらを。

平均寿命と平均余命

平均余命の読み方は?平均寿命との違いとは?【男女別 年齢ごとの平均余命表あり】

今30歳の人の平均余命は、

  • 男性:51.88 (→ つまり、30+51.88=81.88歳まで生きる)
  • 女性:57.77 (→ つまり、30+57.77=87.77歳まで生きる)

です。

(1歳までは変わらなかったですね。)

老後に必要な資金を計算してみる

だいぶ(ほぼ8年)男性はバッファ取りますが、先に死なせてしまうのもかわいそうので、今30歳の人が65歳まで働いて、そこから2人とも90歳まで生きるという前提で、必要なお金を計算してみます。

老後に必要なお金を計算する際によく使われるのが、生命保険文化センターの「生活保障に関する調査です。

夫婦2人で老後生活を送る上で必要と考えられている最低日常生活費をみると、平均額は月額で22.1万円…①

経済的にゆとりのある老後生活を送るための費用として、老後の最低日常生活費以外に必要と考えられている金額の平均は月額で14.0万円…②

というデータがありますので、こちらをもとに、共働き夫婦が老後ゆとりのある生活を送るためには、月36.1万円が必要を前提に計算します。

支出は上記のデータを用いますが、老後でも収入はあります。
そう年金です。

正直、35年後だと年金額の引き下げとか、年金支給の繰り下げとかがある可能性は十分ありますが、年金の額は、こんな感じです。

参照元はコチラ

余談ですが…

支給される年金額のデータを見ると、所得が高い人ほど、月々払っている社会保険料が高いのだからもらう分も多くて当然とか、現役時代の生活水準が高いのでいきなり退職後の生活水準を下げられないといった理屈もなくはないかなと思うものの、現役時代に給料高くて老後資金の準備もしっかりできであろう人のほうがもらえる年金が多いというのは、経済格差を助長するもので、貧しい人は貧しいままで、富める人はますます豊かになる気がして、釈然としません。
なんとかならないかな?

話をもとに戻します。

共働きの夫婦の場合の想定受給額は、

  • 夫:平均年収550万円、国民年金6.2万円+厚生年金9.7万円
  • 妻:平均年収350万円、国民年金6.2万円+厚生年金6.2万円

より、合計で、月28.3万円…③とのことです。

最近では、女性でもしっかりキャリアを築かれる人が多いので、ちょっと前近代的な数字な気もしなくもないですが、そういうの言い出すとキリがないのでいったんこちらの数字を使わせていただきます。

【会社員+専業主婦(夫)】のケースもあるのかなと思いますが、今回は、シンプルに上記パターンで書かせてもらいます。

以上より、老後にゆとりある生活を送るために必要となる年金以外のお金は
(①22.1万円+②14.0万円-③28.3万円)×25年×12ヵ月=2,340万円
※25年は、90歳−65歳です
となります。

本当に2,340万円も必要なのか?

というわけで、老後に必要な資金は、2,340万円となります。
少し前に言われた老後2,000万円問題に近しい数字になりました。

2,340万円はとても大金ですね。
でも、本当にそんなに必要なのでしょうか?

実は、投資の知識があればそんなに必要ありません!!!

例えば、1,000万円を65歳から毎月5万円ずつ取り崩す場合

  • 年利0% ⇒ 約81歳で0
  • 年利3% ⇒ 約88歳で0
  • 年利5% ⇒ 約100歳で0

というように運用をすることができればお金を長生きさせることができます。

老後において、ゆとりある生活を送るために、年金以外で必要になるお金は、月々①22.1万円+②14.0万円-③28.3万円=7.8万円です。

なので、毎月7.8万円を取り崩すためにはいくら必要かを調べてみます。
計算にはコチラを使いました。

上記の通り、ゆとりある老後をすごすために、65歳~90歳の25年間、毎月7.8万円ずつ取り崩していく場合、運用しなければ、65歳時点で2,340万円必要です。

しかし、年3.0%で運用しながら取り崩していけば、65歳で必要なお金は1,640万円ですみます!

投資の知識があれば、お金を「長生き」させることができるので必要な金額は少なくてすみます。

この状態を達成するために必要なことは、

  • どのようにして65歳までに【1,640万円】を準備するか?
  • どのようにして65歳時点で年3%くらいで運用できる【投資の知識】を身につけるか?

の2つです。
そして、その両方に対する簡潔な回答は、今から投資をやってみる!です。

65歳で1,640万円を準備するにはどうすればいい?

こちらも、計算にはコチラを使いましたが、35年間で1640万円を準備するには、毎月22,100円を年利回り3%で運用できれば達成できます。

毎月2万円ちょっと。
これなら、なんとかなるかも!
老後資金の不安の解消が現実的に思えてくるのではないでしょうか?

もちろん、生きていく上で、老後資金以外にも、準備しなければならないお金はたくさんあります。
結婚やマイホームの費用、子どもの教育費、車の購入代金などなど現役世代のうちにかかるお金もたくさんあるので、毎月上記の2万円だけ運用に回せば大丈夫というわけではありません。

また、年金が上記の通り支払われるかもわかりませんし、老後に病気になったり、老人ホームに入るといったケースではもっとお金は必要になります。
将来、家が賃貸なら別途家賃もかかりますしね。

そのため、上記は本当にみなさんが不自由ない老後生活を過ごすために最低限必要な金銭的な条件と思ってください。

ただし、若い世代の方はとっても有利です。

それは、時間を味方につけることができるからです。

運用できる時間が長ければ長いほど、複利でしっかり資産を増やすことができます。

アインシュタインはこう言ったそうです。

 複利は人類による最大の発明だ。知っている人は複利で稼ぎ、知らない人は利息を払う(“Compound interest is man’s greatest invention. He who understands it, earns it. He who doesn’t pays it.”)

ぜひ、早い段階から少額でもいいので投資にチャレンジしてみてください。

また、FIREの考えでは、65歳まで働かずに現役世代のうち、経済的自立を達成することを目指しますが、そうなるともっともお金がいりそう…と思うかもしれません。

しかし、実はそうでもありません。

それは、経済的自立を達成しても資産運用はし続けるので、そこからもかなりの年数が運用することができます。
その間、運用をしながら取り崩していけるので、お金を長生きさせることができます。

老後にもしかしたら必要になるお金

さて、上記では、夫婦2人で

老後生活を送る上で必要と考えられている最低日常生活費

経済的にゆとりのある老後生活を送るための費用

年金収入

老後に必要な金額

として、計算しましたが、実際には、上記以外に必要になるかもしれないお金がいくつかあります。

例えば、

  • 自宅のリフォームに関わる費用
  • 将来老人ホームに移り住むために必要な費用
  • 車の買い替え費用
  • 子どもの結婚の援助

などです。

これらのお金も事前に想定しておきましょう。

おまけ)子どもがニートの場合

老後においては、子どもは独立して、お金はかからなく想定が一般的にはされますが、最近ではそうならないケースも増えています。

働かずにニートになり、家に居続けてしまうケースです。

もし、その可能性がありそうなら、その分の費用も準備する必要があるかもしれません。
良い悪いという問題ではなく、そうした事態も想定しながら、現実的にお金の工面を考えることが老後に困らないために必要なことと言えます。

より正確に老後に必要なお金を算出する方法

さて、上記のように、老後に必要なお金として2,340万円と挙げましたが、当然ながら、老後に必要になるお金は、人によって異なります。

それは、人によって、生活に対する価値観が異なり、特に、支出が異なるためです。

そのため、それぞれの老後の支出を求めることで、より確度高く老後に必要なお金を求めることができます。

特に、老後においては、一般的に収入が限られますので、支出をいかにコントロールできるかで、生活の質が異なります。

支出を求めるためには、漠然と捉えるのでは、まずはきちんと整理してみることが必要です。

まず、月々の支出を項目ごとにチェックします。

その際、

  • 固定費
  • 変動費

の2つにまずは大きく分けます。

固定費は、所得税・住民税/固定資産税/健康保険料/介護保険料/生命保険料/損害保険料/ローン返済などです。

変動費は、食費/光熱費/水道費/生活雑貨/被服費/医療費/通信費/交通費/趣味・娯楽などです。

支出の中心になってくるのは、この変動費で、中身は主に生活費とされるものです。
実際、今のご自身の家計の生活費の状況をもとに、老後の生活費はどのようになりそうか想定しながら計算してみましょう。

老後の生活費を想定する上で重要なのは、教育費をはじめ、子どもにかかっているお金です。
老後には、これらのお金はかからなくなります。

また、仕事関連の付き合いも老後は減ることでしょう。

さて、老後の生活費を想像して計算してみると、

夫婦2人で老後生活を送る上で必要と考えられている最低日常生活費をみると、平均額は月額で22.1万

という平均額と大きく乖離しているかもしれません。

もし、この平均額よりも少なくなりそうということでしたら、上記の2,340円よりも少ない金額でも大丈夫かもしれません。

反対に、この平均額よりも大きくなってしまいそうなら、もっと多くのお金の準備が必要となります。

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