3分でわかる!DOE(自己資本配当率、純資産配当率、株主資本配当率)とは?

今までは、株主への企業の利益還元の指標としては、配当性向が一般的でした。

しかし、最近では、新たな指標として自己資本配当率(DOE)を掲げる企業が増えています。

DOEの高い企業は、長期的に株主に対する還元を増やそうという姿勢を示しており、安定的な配当を見込める企業として、特に海外の機関投資家から注目されています。

世界経済の先行き不安から安定的な成長と配当を示す企業に、リスクを回避したい投資家の人気が集まっています。

DOE(自己資本配当率)とは?

DOEは、Dividend On Equity の略で、利益を積み上げた株主資本に対して、どの程度を配当に回すかを表し、比較的業績変動の影響を受けづらい特徴があります。

DOEの計算式

DOE = 配当 ÷ 株主資本

ですが、

DOE = 配当性向 × ROE

と表すこともできます。

DOEと配当性向の違い

株主還元の指標として一般的なのは純利益のうちどれだけを配当に回したかを示す配当性向です。
東証がまとめる上場企業の実績ベースの配当性向を見ると、ここ数年は30%前後で推移しています。

ただ、配当性向を目安にする企業は、純利益は年度による変動が大きく、利益が減ると、連動して減配になる可能性があります。
そのため、配当性向だけを基準にすると配当金額が安定しなくなることがあります。

一方、DOEの元となる株主資本は、株主が出資した資本に、これまで蓄積した利益剰余金を加えたストックであり、純利益に比べると変動は少なく、より安定的に還元することができます。

企業にとっては、DOEを採用することで、より安定的に株主に還元する姿勢を示すことができます。
投資家にとっては、外部環境が不透明な中で、ブレない企業を見極めるのに役立ちます。

また、自己株の取得などで、資本効率を向上させることで、DOEの水準を高めることも可能です。

DOEは、配当性向に、企業の稼ぐチカラを表すROE(自己資本利益率)を組み合わせた指標です。
資本効率と株主還元を安定して向上できる企業が、高水準のDOEを維持できると言えます。

DOEを掲げる企業

▼DOEを配当の目安に掲げる主な企業

企業名 DOE目標値
エクシオG(1951) 3.5%
カルタHD(3688) 5%
宇部興(4208) 2.5%
インテージH(4326) 4.5%
塩野義(4507) 4%
HUグループ(4544) 8%
第一三共(4568) 8%
資生堂(4911) 2.5%
ファンケル(4921) 5%
ダイキン(6367) 3%
村田製(6981) 4%
松井証券(8628) 8%
MS&AD(8725) 2~3%

例えば、カブドットコム証券は、2018年5月15日に公表した経営計画で、2021年3月期の株主還元の目標として、配当性向50%以上とあわせて、DOE8%以上を掲げました。

資生堂は、2018年春に配当性向40%という目標を取り下げて、DOE2.5%以上という目標を経営計画にあわせて導入しました。

第一三共は、2021年3月期までの5年間平均であるある3.9%から2026年3月期に8%以上と大幅に引き上げる目標を立てています。

ファンケルも、2018年3月23日に公表した経営計画で、従来から示す配当性向40%程度との目標に加えて、新たにDOE5%程度を指標として導入しました。

そのほか、日本航空も3%以上とするDOEの考え方を取り入れました。

最近でも、松井証券(8%以上)、オムロン(3%)などの会社も配当方針としてDOEを掲げています。

松井証券

2021年3月期 決算報告資料 より

このように、松井証券は、配当の方針として、配当性向60%以上かつDOE8%以上を配当政策の基本方針として掲げています。
市況によって業績が変動しやすい証券業の特性を踏まえつつ、安定的に配当を続ける姿勢を示していると言えるでしょう。

オムロン

2021年 3月期(米国会計基準) 決算プレゼンテーション資料 より

このように、DOE3%程度を株主還元方針として掲げています。

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