「保険営業の求人を見ていると『保険募集人資格必須』『資格取得支援あり』といった表記をよく見かけます。保険業界に興味を持ち始めた人にとって、保険募集人資格が何なのか、自分でも取得できるのか、どのくらい難しいのかは、最初にぶつかる疑問ではないでしょうか。
この記事では、保険営業に携わるうえで欠かせない『保険募集人資格』について、種類・難易度・取得方法を初心者向けに解説します。最後まで読めば、未経験から保険営業を目指すときに、資格について『何を・どうすればいいか』が分かります。」
この記事でわかること
- 保険募集人資格が「資格」ではなく「登録」の仕組みであること
- 生命保険と損害保険で資格と試験が違うこと
- 難易度・合格基準・勉強の目安
- 取得までの流れと、独学で取れるのかどうか
- よくある誤解と注意点(年収・転職・法改正)
保険募集人資格とは?「保険を販売するための登録」の仕組み
保険募集人とは、生命保険や損害保険の契約を顧客に提案し、契約の締結を行う人のことです。
ポイントは、これが個人で取得する「国家資格」ではなく、保険業法に基づく「登録」制度だという点です。保険の募集(販売)を行うには、所属する保険会社や保険代理店を通じて、監督官庁である金融庁に登録された保険募集人であることが必要です。
つまり、個人が単独で「資格を取って保険を売る」のではなく、保険会社や代理店に所属し、その会社を通じて登録される仕組みです。求人で「保険募集人資格必須」と書かれていても、実際には入社後に会社のサポートで取得・登録するケースがほとんどです。
かつての「第一種・第二種」区分は廃止され、登録制に一本化
かつて保険募集人は「第一種保険募集人」「第二種保険募集人」という区分が存在しましたが、2005年改正の保険業法(2007年施行)により区分は廃止され、現在は登録制度に一本化されています。※この歴史的経緯の正確な条文・施行日は、金融庁の公式資料での確認をおすすめします。
現在は「生命保険募集人」と「損害保険募集人」として、所属会社を通じて登録・更新される仕組みです。

生命保険募集人と損害保険募集人の違い
同じ「保険募集人」でも、扱う商品が違えば資格と試験も別物です。保険業界を目指すときは、自分がどの保険を扱う仕事をしたいのかで、取るべき資格が変わります。
| 項目 | 生命保険募集人 | 損害保険募集人 |
|---|---|---|
| 扱う商品 | 終身保険・医療保険・年金保険など | 自動車保険・火災保険・傷害保険など |
| 試験 | 生命保険協会の業界共通教育課程(一般課程・専門課程・応用課程など) | 損保一般試験(基礎単位+商品単位) |
| 取得の前提 | 所属会社(保険会社・代理店)を通じて受験・登録 | 基礎単位の合格が代理店登録・募集人届出の前提。扱う商品ごとの商品単位(自動車・火災・傷害疾病)にも合格が必要(損保代理店試験ポータルサイト) |
募集人制度の根拠となる保険業法や、金融庁の監督上の考え方は、金融庁「生命保険募集関係」および「損害保険関係」で確認できます。
取り扱う商品によって追加の資格が必要
さらに、商品によっては追加の販売資格が必要です。
- 変額保険販売資格:変額保険を取り扱うために必要。一般課程試験に合格し、生命保険募集人として登録済みで、専門課程試験に合格していることが受験の最低条件とされています(生命保険協会「業界共通教育課程」、日生ほか)
- 外貨建保険販売資格:外貨建ての保険を取り扱うために必要
つまり保険営業は「一般課程に合格して登録 → 経験を積みながら専門課程・応用課程へ」と段階的にレベルアップしていく構造になっています。
保険募集人資格の難易度と勉強時間
合格基準は70点/100点。合格率は「80%前後」と言われる
生命保険の一般課程試験は100点満点中70点が合格基準です。合格率は公式には公表されていませんが、業界では80%程度と言われており、未経験者でも十分狙える難易度とされています(R&C採用サイト)。
出題範囲は、保険の基礎知識として
- 法律知識
- 商品知識
- 募集ルール
- 顧客対応のマナー
など、実務に直結する内容が中心です。
「落とすための試験」ではないが、専門用語の学習は必要
損保一般試験も同様に「落とすための試験ではない」とされ、公式テキストの範囲から出題されます。ただし保険特有の専門用語が多いため、保険に初めて触れる人は、それなりの学習時間を確保するのが現実的です。
保険募集人資格の取得方法と流れ
独学では取得できない。所属会社が決まってから受験・登録
繰り返しになりますが、保険募集人資格は個人で勝手に受験・登録することはできません。保険会社や代理店に入社(所属)し、会社が指定する研修・試験の流れの中で取得するのが基本です。
未経験者を対象にした求人でも、「資格取得支援あり」「入社後に取得」としている会社が大半です。資格を持っていなくても応募できるケースが多いのはこのためです。
取得までの一般的な流れ
- 保険会社・保険代理店に入社(所属する)
- 会社の指示に従って試験を受験(一般課程など)
- 合格後、所属会社が金融庁(または協会)に登録
- 登録が完了し、保険の募集活動が可能になる
合格資格の有効期限と「復活」制度
保険営業を退職し、登録の継続手続きをしないと、合格資格の効力が失われる場合があります。
ただし、募集人の業務を廃止した後、2年以内に新たな生命保険会社で登録し、所定の届出を行えば、合格資格が復活する場合があります(対象は専門・応用・大学課程)(生命保険協会Q&A)。
保険業界をいったん離れる場合でも、2年以内に再登録すれば再受験を避けられる可能性があるため、転職を考えるときはこの期間を意識しておくと有利です。
保険募集人資格に関する誤解と注意点
誤解①「資格があると年収が高い」→ 資格は営業の前提であって、収入を保証しない
保険営業の収入は、固定給+歩合(インセンティブ)または完全歩合制が基本です。資格は「保険を売ってよい」ための前提条件であり、資格があるだけで収入が上がるわけではありません。年収の実態については、関連記事「保険営業の年収」で解説します。
誤解②「資格さえ取れば転職に有利」→ 評価されるのは経験と成績が中心
保険募集人資格は業界の標準的な登録であり、資格の有無だけで転職の有利不利がつくわけではありません。転職市場で評価されるのは「どの会社・代理店で、どんな成績を残したか」です。
一方で、資格を持っていると、採用選考の初期段階で「業界経験者」として扱われるという実務上の利点はあります。
資格の有無より大切なのは向き不向き。営業が続く人の特徴をまとめた記事はこちらです。
注意点「保険業法の改正」を意識しておく(2026年6月施行)
保険業法が改正され、特定大規模乗合保険募集人に対する体制整備義務の強化などが含まれています(2026年6月1日施行予定)。※施行日・内容の詳細は金融庁の公式資料でご確認ください。
所属する代理店の規模・形態によって、2026年以降は募集人に求められる体制や手続きが変わってくる可能性があります。転職・就職を検討する際は、応募先の代理店がどのような体制を取っているかも確認するとよいでしょう。
保険募集人資格に関するよくある質問
Q. 独学で取得できますか?
A. できません。保険会社や代理店に所属し、会社を通じて受験・登録する仕組みのため、
独学のみで資格を取る方法はありません。
Q. 未経験・無資格でも保険営業の求人に応募できますか?
A. できます。「資格取得支援あり」「入社後に取得」を掲げる会社が大半です。
応募前に募集人資格の有無を必須としていない求人を選ぶのがポイントです。
Q. 落ちた場合は再受験できますか?
A. できます。一般課程試験は再受験が可能です。合格基準70点(100点満点)のため、
公式テキスト中心の学習で合格が見込めます。
Q. FP資格とは何が違いますか?
A. FPは「相談・設計」の民間資格、保険募集人は「販売・契約締結」のための登録です。
両方持つと相談から契約まで一貫対応できるため、保険営業では併用が有利とされます。
※FPとの比較は今後公開予定の「FPの転職・就職先」記事で詳しく解説します。
まとめ:保険募集人資格とは「保険営業を始めるための入口」
保険募集人資格は、難しい国家資格ではなく、保険営業に携わるための「標準装備」のようなものです。
- 独学では取得できず、所属会社を通じて登録する仕組み
- 難易度は高くなく、未経験者でも入社後に取得できるケースが多い
- 生命保険・損害保険で資格が異なり、商品によって追加資格が必要
- 資格があるだけで稼げるわけではなく、収入は歩合中心の営業成績次第
資格の意味を正しく理解したうえで、次は年収の仕組みや働き方の種類を学ぶと、保険営業のキャリアイメージが具体的になります。


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